登校しぶり
「一人の方が楽だし、話すのが面倒です。」
その生徒はひとりでいることが好きだった。
穏やかに日々生活するのが好きだった。
ある意味で他の生徒とは少し変わった生徒だったが、とても優しい子だった。
しかし、そのまま日々が過ぎ、冬頃になると様子が変わってくる。
「教室に居づらい。」
「誰かが私のことを噂している気がする。」
いつの日からか遅刻が増え、
朝の会に間に合わない・・・
2時間目くらいにようやく登校する・・・・
など、だんだんと学校への意欲が薄れていった。
原因はいくつかあった。
部活動での人間関係、教員との関係、クラスでの人間関係・・・
どれもこれも思春期にはよくある、といったら当の本人には失礼かもしれないが、
それでもどの中学生にでもありそうな、ありふれた悩みだった。
しかし、どの子もこういう、周りから見ればとても些細な、あるいは人によっては「そんなことで悩んでるんじゃないよ」とでも言われてしまいそうな程度の悩みから、だんだんと不登校に陥ることは、珍しくない。
このときに必要なのは「話を聞いてあげること」だ。
それも、教員だけではない。
保護者もその悩みに対して、親身になってあげる必要がある。
これは別に本人のわがままを聞くということではない。
親身になって聞いた結果、子どもを甘やかすのとは違う。
本人が悩んでいることそのものを丸ごと受け止めて上げた上で、よりよい方向へ促すことが大切である。
教員も保護者も、本人の成長のためを思って同じベクトルを共に向きさえすれば、
自ずと子どもは元の自信を取り戻し、復帰することが可能である。
万策尽きるまで。